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  • 全研本社株式会社 「ありがとうの見える化」が行動を変え、組織を変える

豊口シニアマネージャー(以下、豊口):全研本社株式会社は1975年に創業し、受験教材の開発や英会話教室といった総合教育事業からスタートしました。以来、さまざまな事業を育て、会社として独立させています。そして事業を育てるにはマーケティングが必要ということで、自社で集客のための広告も行うようになりました。PDCAを何度も回すなかでノウハウが蓄積され、取引先から「うちも支援してほしい」と言われるようになり、IT事業を拡大してきたという経緯があります。
ここ沖縄オフィスではIT事業のなかで主に制作を担当しています。ライターや編集者が多いのですが、コーディングやデザインをやっているメンバーもいます。私は2019年5月に東京から沖縄に赴任して、制作全体を統括しています。

導入するまでに至った経緯

豊口:もともと沖縄オフィスではおもちゃの通貨を使って感謝の気持ちを伝える独自の評価制度でメンバーの努力やフォロワーシップを強化する取り組みをしていました。このやり方だとメンバー同士のやり取りが外からわからないので、もう少し管理職からも見えるような形で広げていきたいと思っていたところに、カンパニーマイルをご紹介いただき導入を決めました。若手メンバーによる運営で導入を盛り上げる!

Q:どのように運営されていますか。

豊口:最初は運営メンバーを募集しました。何人か集まりましたが、できるだけ若手のメンバーに頼みたいと思い、新卒で入社している新垣と経理に詳しい末吉に任せることにしました。

メンバーの努力やフォロワーシップの強化を目指して

導入前の社内稟議

Q:運営で最初に決めるべきことはどんなことでしょうか。

豊口:どんな目的でやるのか、どういう告知をして盛り上げるか、どういう商品を選ぶか、といったことを決めていきました。一番重視したのが目的のすり合わせです。沖縄オフィスではペリカの他にもメンバー同士で評価する360度制度があります。月に1回、誰が仕事をがんばっているかを投票して、投票数が一番多かった人を食事会に招待しています。また、全員の給与が開示されており、誰がどれだけ評価されたのかわかるようになっています。
カンパニーマイルはこれらの制度とはスタンスを変えないと意味がありません。議論した結果、評価の軸はフォロワーシップ、つまり「ありがとうという気持ち」だよねという結論になりました。仕事の頑張りであれば360度評価に、仕事の成果であれば給与に反映されますから、業務に直接関連していなくても会社を良くするための行動を評価していこうと考えました。

Q:マイルは「ありがとうの気持ち」のやり取りのほかに付与されることはありますか。

豊口:「グッドジョブ」のリストにある行動をすると、管理者が企業ウォレットから設定したマイル数を付与しています。グッドジョブは定時出社のほか、役に立つ情報を投稿したり、勉強会を開催して講師を務めたり、イベントの実行委員を務めたり、資格を取得したり、といった場合が対象となります。「グッドジョブ」のリストはメンバーから要望を聞いて随時追加しています。

Q:もらえる商品にはどのようなものがあるのでしょうか。

豊口:人気があるのはお菓子ですが、変わったところでいうとメンバーが描いたオリジナルイラスト入りのティッシュボックスとノートも好評です。
ログインしたときにほしいと思える商品が表示されると利用するモチベーションが上がる、と考えたのですが、予算には限りがあります。豪華な商品は難しいし、普通のノートやティッシュボックスだと嬉しさも半減してしまいます。お金をかけずに商品に付加価値をつけるにはどうしたらいいかを考えていたところ、社内に画伯と呼ばれるメンバーがいまして(笑)、画伯のイラスト入りの商品だったら欲しいという声があり、イラストを描いてもらうことにしました。
最高ランクの商品はオリジナルカレンダーです。当社ではクレド(行動指針)が10か条ありますが、それを1月~10月まで月単位で掲載して、残りの11月・12月は自分の好きな名言を入れられるというものです。交換するには260マイルが必要なので、なかなか交換することはできませんが、多くの人から感謝されたメンバーとして名誉になる商品だと思います。

Q:使ってもらうためにどのような工夫をしましたか。

豊口:運用前は月に1回の朝礼で、カンパニーマイルの情報を少しずつ開示して「こういうことができるんですよ。楽しみですね~!」と言って盛り上げるようにしました。最後に簡単なルールと操作方法を楽しく説明する画面を一つ作り、それを見ながら使い方を説明しました。運用開始後は毎朝「チェックイン(出社のアクション)しましたか?」と声をかけて、まずはシステムにログインしてもらうようにしています。
また、以前の評価制度が毎月一番マイルが貯まった人が食事会に招待されるという制度だったことが影響してか、貯めたマイルをなかなか使ってくれない傾向があります。そこで毎日業務が終わったあとに運営メンバーが商品を持って社内をめぐり、「商品と交換しませんか?」と声をかけています。そこでも新たなコミュニケーションが生まれています。

利用したメンバーの声

運営を通じてメンバーとのコミュニケ―ションが生まれた

運営委員:新垣さん、末吉さん

Q:商品はどのように決めましたか?

新垣:いろいろなメンバーとランチに行って、どんな商品がもらえるとモチベーションが上がるのかをヒアリングしました。メンバーからは金券の要望が多かったのですが、課税対象になってしまうので「違う方向から付加価値を付けることを考えてみたら?」という豊口シニアマネージャーからのアドバイスで、メンバーのイラスト入りノートやティッシュボックスを企画しました。定時出社を何回か続ければ交換できるもの、講師や情報発信をしたら交換できるもの、たくさん貯めないと交換できないものと、大まかに3つのランクで商品を決めていきました。

Q:カンパニーマイルを使ってもらうために工夫したことはありますか?

末吉:最初はなかなか商品を交換してもらえなかったので、業務時間後にお菓子と手書きのボードを持ってみんなの席を回っています。おかげで商品の交換が活発になったと思います。社内を回ることで普段関わりのない人とコミュニケーションできるので、とても楽しいです。
新垣:やはり社内を回ったのは効果が大きかったですね。カンパニーマイルの操作で何かわからないところがあればその時に直接サポートできるので、最初からスムーズに使ってもらうことができました。

Q:今後、運営でやっていきたいことはありますか。

末吉:個人向けの商品だけだと交換する人が減ってしまうので、仲間とシェアする商品を増やして、もっと商品を交換してもらえるように商品づくりをしていきたいと思います。
新垣:自己学習の目標を宣言して、目標を達成したらマイルをもらえるようなゲーム感覚で自己鍛錬できる仕組みを考えていきたいと思います。

見えないところでいいことをしている人がいることをみんなに知ってほしい

マイル使い切りトップ:宮城さん、福田さん、又吉さん

Q:カンパニーマイルを使ってみた感想を教えてください。

又吉:マイルのやり取りの履歴を見ていると上司は頻繁にマイルを贈っていて、本当にみんなのことをよく見ているなと感動しています。もらっている人の行動はもちろんですが、贈る人の行動もわかるのがいいなと思っています。宮城:以前の評価制度ではメンバー同士のやり取りが禁止されていて、マイルを贈る時は管理者にもらいにいってそれを贈り先の人に直接渡すルールだったので、贈る人や管理者が忙しいと贈りづらいということがありました。今は簡単に贈れるので、やりとりが活発になったと思います。
福田:みんなが見えないところでこんないいことをしている、とわかるのがすごく嬉しく、その人のことを自慢したい気持ちです。こんないいことをしている人がいるよ、とみんなに知らせるためにマイルを贈っています。

Q:どれくらいの頻度でマイルを贈っていますか?

福田:定時出社をすると1マイルもらえて、その他に誰かしらマイルをくれるので1日3マイルくらいは貯まります。私はそれを1日で使い切ろうと、いつも贈る人を探しています。そのため周りの人のいいところを積極的に探すようになりました。
又吉:私もマイル所持数ランキングのトップではなく最下位の方をいつもチェックしています(笑)。私も負けずにランキングの下の方にいこうと、マイルを贈るようになりました。
宮城:私もいつも頻繁に贈っていたのですが、最近商品にお菓子パックが登場したので、マイルを貯めていました。1回交換しましたが、みんなにお菓子を配ると喜んでもらえるので楽しいです。そして配るとみんなからお礼のマイルがもらえます(笑)。

マイルを受け取った履歴を振り返ると励みに

マイル所持数トップ:上原さん、古波鮫さん

Q:マイルを貯めてよかったことを教えてください。

上原:社内SEなので雑事を引き受けることも多く、パソコンのトラブル対応をした時などに感謝されてマイルを贈ってもらえることが多いです。以前はそれで感謝をされる習慣もなく私も気にもしていませんでしたが、マイルをもらうことで自分のしてきたことの振り返りにもなり「結構な数を対応しているんだな」とビックリしています。
古波鮫:私は業務のヘルプに入ることが多く、ヘルプを依頼した人からもらうことが多いです。以前の評価制度では月に1回しかマイル数が集計されませんでしたが、今は自分のがんばりがリアルタイムで可視化されるので励みになります。どんなにヘルプで忙しくても疲れ知らずになりました。

Q:マイルはどんなことに使っていますか?

古波鮫:ありがとうのマイルは贈っていますが、商品の交換はせずにひたすら貯めています。100マイル貯めたら58マイルのハンドクリームと交換するという目標があるので、目標達成するまでは貯めます!
上原:周りの人にマイルを贈っているのですが、贈りきれずにいつも貯まってしまっています。あまり貯まるのもいやなので、最近は周りの人に喜ばれるお菓子パックと交換して配りました。

プラスアルファの思いをマイルにのせて

マイルやりとり数トップ:松本さん、中村さん

Q:カンパニーマイルを使ってみてよかったことはありますか?

中村:他の人がどんなことで感謝されているのかがわかるのがいいなと思います。コメントをみるとその人がどんな業務を手伝ったのかわかるので、普段あまり関わりのない人でも「この業務をやってたんだ」と話しかけてコミュニケーションのきっかけになることもあります。ランキングを見るのも楽しいですね。マイル所持数で誰が上位にいるのかを見て「この人はどの商品と交換するんだろう」と想像しています(笑)。
松本:今までも感謝の気持ちをチャットで伝えることはありましたが、マイルを贈ることで好きなものと交換してもらえるので、言葉だけでは足りないプラスアルファの思いを伝えることができていいなと思います。

Q:やり取りを多くするコツはありますか?

松本:ありがとう、と言った時にすぐにマイルを贈るようにしています。また日報を書く時に1日の業務を振り返って「そういえばこの人に贈っていなかったな」と気づいたときに贈っています。それからみなさんに特技のタロット占いをしてあげるとすぐにマイルがやってきます(笑)。
中村:業務ではあるけれど業務として売上の計上が難しい場合に、ありがとうの気持ちをマイルで伝えています。今後また面白い機能が追加されたら、積極的に使ってやりとりを増やしていきたいと思います。

仕事にも生活にも役立つ情報を共有したい

情報共有数トップ:池田さん

Q:どのくらいの頻度で情報共有をしていますか。

池田:毎朝投稿をしています。サイトを制作する仕事をしているので、生活にもサイト制作にも役立ちそうなニュースをピックアップして共有しています。最初は情報をもらおうと思って見ていたのですが、私でもみんなが参考にできる情報を提供できるかもしれないと思い始め、アウトプットもかねて投稿をはじめました。「いいね」を押してくれたり、日報のコメントにこの投稿が良かったですと書いてくる人もいて、みんなから応援してもらえるのでがんばろうと思います。

Q:マイルは使う派?貯める派?

池田:使う派です。マイルをあげたくてもマイルがないので、情報共有でマイルを稼ごうとがんばっています。カンパニーマイルは言葉だけではなくて、感謝の気持ちがずっと残るのが良いところだと思います。私はいつも履歴を見て最近誰にありがとうと言ったかを振り返っています。私の贈ったありがとうを参考にして行動しているメンバーもいて、ありがとうがつながっていくのが嬉しいです。

導入後に起こった社内の変化

豊口:沖縄オフィスでは現在約60人のメンバーが働いていますが、この規模になると隣のチームが何をしているのかわからなくなってしまいます。カンパニーマイルでは誰がどんな理由でマイルを贈ったかがわかるので、普段あまり仕事でやり取りをしないメンバーがどんな行動をしているのかを共有できるようになりました。
例えば台風の前の日に窓のサッシに新聞紙を詰めてくれていた人がいる、ゴミ捨てを毎日してくれる人がいる、朝早く出社してミーティングルームの机を毎日掃除してくれている人がいる、そういった行動を誰かが気づいてマイルを贈るとすべてのメンバーに知れ渡ります。カンパニーマイルがなければこうした行動は誰にも知られないままになっていたでしょう。メンバーそれぞれの努力や心遣いをみんなに知ってほしいという思いで、貯めたマイルがゼロになるまで贈っている人もいます。
また、「もっと自分で勉強した方がいい」と先輩からアドバイスを受けて、毎日勉強した内容を投稿している人もいます。一人の学びで終わらせず、他のメンバーの学びにつなげることもできるようになりました。

カンパニーマイルでは誰がどんな理由でマイルを贈ったかがわかる

Q:これから導入する企業が気を付けるポイントはありますか。

豊口:会社から一律にマイルを配布するのはむやみにやらない方がいいかなと感じています。当初は配布しようとしたのですが、メンバーから「自分で稼いだマイルでないと、感謝の価値がなくなる」と言われ、確かにそうだなと思いました。

Q:今後の展望をお聞かせください。

豊口:今後は業務に関することもマイルの対象にして、仕事のモチベーションにもつながればいいなと考えています。会社を良くするツールとして、これからも運用を継続的に見直しながら、よりよい使い方を模索していきたいと思います。

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